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【企業向け】不法就労助長罪とは?外国人雇用で企業が知っておくべき在留カードの確認方法とチェックリスト

執筆者の写真: Maki Onodera
Maki Onodera
10月2日
読了時間: 6分

不法就労助長罪を防ぐために採用時に在留カードの原本や職務内容を確認する企業の採用担当者と外国人社員

人手不足の解消や多様な人材獲得に向けて、外国人雇用の取り組みを進める企業が増加しています。一方で、採用・労務管理の実務において企業が最も恐れなければならないリスクが「不法就労助長罪(ふほうしゅうろうじょちょうざい)」です。

 

「本人から大丈夫と言われた」「紹介会社から譲り受けたコピーしか見ていなかった」といった誤った対応は、企業側に悪気がなかったとしても過失(落ち度)とみなされ、刑事罰の対象となるおそれがあります。

 

今回は行政書士の視点から、企業における不法就労助長罪の基本から、企業が押さえるべき在留カードの確実な確認ステップ、そしてそのまま使える「社内チェックリスト」までを詳しく解説します。

 

1. 不法就労助長罪とは?企業が追う重大な法的リスク

不法就労助長罪(入管法第73条の2)とは、不法就労をする外国人事業者を雇用したり、事業活動において不法就労をあっせん・仲介したりした行為に対して科される罪です。

どのようなケースで成立するのか?

 

主に以下のようなケースで成立します。

 

  1. オーバーステイ(不法滞在者)の雇用

在留期限が切れている外国人をそのまま働かせ続けた。


  1. 就労不可の在留資格での雇用 

「短期滞在」や資格外活動許可のない「留学」「家族滞在」の外国人を就労させた。


  1. 認められた活動範囲を超えた就労(資格外活動のオーバー)

o   「技術・人文知識・国際業務」など専門職ビザの社員に、現場の単純作業(清掃・工場ライン・接客等)を主業務として任せた。

o   留学生を「週28時間」を超えて働かせた(※他社とのダブルワークによる時間超過も合算対象)。

 

罰則内容:「知らなかった」は通用しない

不法就労助長罪に問われた場合、雇用主(企業および担当者)には「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金(またはその併科)」という重い刑事罰が科される可能性があります。


「本人が『働ける』と言っていた」「偽造カードだとは気づかなかった」という弁明は、在留カードの確認を適切に行っていなかった場合、不注意(過失)として認められず処罰の対象となります。また、企業名が公表されることで社会的信用を失うだけでなく、今後の外国人受け入れ事業が数年間にわたり停止する(欠格事由に該当する)という極めて深刻なダメージを受けることになります。

 

2. 【鉄壁の3ステップ】在留カードの正しい確認方法

不法就労助長罪のリスクを防ぐため、「面接・採用決定時」に必ず在留カードの「原本」を企業自らが確認する運用を徹底しましょう。スマホの画像データやコピーのみでの確認は不十分です。

 

ステップ1:原本の「目視確認」

まず、本人の目の前でカードの「現物」を確認します。


  • 本人同一性: 顔写真と目の前にいる本人が一致しているか。

  • 在留期限: 満了日を過ぎていないか。

  • 就労制限の有無: 表面の「就労制限の有無」欄に記載されている条件を確認。

  • 裏面の確認: 留学生や家族滞在者の場合、裏面の「資格外活動許可欄」に「許可(原則週28時間以内・風俗営業等を除く)」等の印字・スタンプがあるか。

 

ステップ2:偽造防止対策のチェック

近年、目視だけでは判別しづらい非常に精巧な「偽造在留カード」が出回っています。


  • カード傾けの視認:

カードを傾けた際、ホログラム(「MOJ」の文字周囲の柄がピンクからグリーンに変化するなど)や色調の変化が正しく現れるか。


  • 公式「読取アプリ」の活用(最重要):

出入国在留管理庁が無料で提供している「在留カード等読取アプリケーション」を社内のスマホやタブレットに導入し、カード内蔵のICチップを読み取ります。アプリに表示された情報と券面の記載内容・顔写真が完全に一致するか確認します。

 

ステップ3:オンラインでの失効情報照会

出入国在留管理庁のWebサイト「在留カード等番号失効情報照会」ページにて、カード番号を入力し、そのカードが失効(有効期限切れ・偽造等)していないかを照会・確認します。

 

3. 企業が陥りがちな3つの「落とし穴」

現場の運用で特に注意すべきトラブル事例です。

 

  1. 派遣社員・紹介人材の「確認任せ」 

「派遣会社や紹介会社が大丈夫と言っていたから」と確認を怠るケースです。派遣元・紹介先だけでなく、実際に受け入れて業務指示を行う企業側(自社)にも確認責任が及ぶため、初出勤時に必ず自社で原本確認を行いましょう。

 

  1. 留学生の「掛け持ちアルバイト」超過

留学生の週28時間制限は、自社での勤務時間だけでなく「他社での勤務時間との合算」で判定されます。自社で週15時間しかシフトを入れていなくても、他社で週20時間働いていれば計35時間となり違法です。採用時に他社での勤務実態をヒアリング・書面管理する運用が不可欠です。

 

  1. 「名ばかり職種」による業務逸脱

「技術・人文知識・国際業務」で採用した社員に対し、入社初期や現場応援と称して「倉庫での梱包作業」や「飲食店での配膳・調理補助」ばかりを行わせるケースです。契約上の肩書が「総合職」であっても、実際の労働実態が単純労働であれば不法就労(不法就労助長)と判定されます。

 

4. 外国人雇用のための社内コンプライアンス・チェックリスト

自社の外国人採用・労務管理フローが適正かどうか、以下のチェックリストで確認してみましょう。

 

採用前・選考時のチェック

  • [ ] 面接時に「在留カード原本」の提示を求め、顔写真と本人の一致を確認したか

  • [ ] 在留カード等読取アプリでICチップを読み取り、券面偽造がないか確認したか

  • [ ] 「在留カード等番号失効情報照会」で有効なカードであることを確認したか

  • [ ] 自社で予定している具体的な職務内容が、該当する在留資格の許容範囲内であるか突き合わせたか

  • [ ] (留学生・家族滞在者の場合)資格外活動許可の有無を確認し、他社での掛け持ち状況をヒアリングしたか

 

採用後・雇用中のチェック

  • [ ] 在留期限の「3ヶ月前(更新申請受付開始日)」を把握し、期限切れ防止のアラート設定を行っているか

  • [ ] 実際の現場での割り振りが、ビザの許可範囲を超える業務(単純労働等)になっていないか定期点検しているか

  • [ ] 留学生の労働時間が、他社分を含めて「週28時間(長期休業期間は1日8時間/週40時間)」を超えていないか毎月管理しているか

  • [ ] 部署異動や配置転換の際、新しい業務内容が現在のビザの範囲内か事前に確認しているか

 

5. まとめ:不安がある場合は専門家にご相談を

外国人の雇用は、適切な知識と確認フローさえ確立できていれば、企業の成長を大きく支える強力な力となります。

 

しかし、「自社の業務内容がビザの範囲に収まるか判断が難しい」「過去の在留カード確認方法に不安がある」「派遣・紹介人材のコンプライアンス体制を整えたい」といったお悩みがある場合、一度のうっかりミスが企業経営に深刻な打撃を与えかねません。

 

当事務所では、企業向けの外国人雇用コンプライアンス診断や、就労ビザの申請・見直しサポートを行っております。不法就労助長罪のリスクを防ぎ、安心して外国人材を活用したい企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。


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